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2006/12/04

中島みゆきと政・官の恥知らず

 有田芳生さんのブログで中島みゆきの新アルバムが出ているのを知り、久しぶりに買ってきて聞いた。「久しぶりに」と言うのは、ここ数年繰り返しが多く、十数年前に導入されたオリエンタルふうの曲はあまり成功しているようには思えず、以来あまり熱心なリスナーではなかったからである。今回の『ララバイSINGER』も、繰り返しが多いようだが、それでも「ただ・愛のためにだけ」と「お月さまほしい」の2曲にはやはり強くアピールするものがあった。彼女は三十数年にわたり、自由・愛・正義を歌い続けてきた。繰り返しが多くなってもやむをえない。三十数年間も続けてきたのは大したことだ。だがそれはこれらが、多くの人たちがそれへの到達を願いながら、到達できないからでもある。そして、拙者は多くの人々もまた、これらを求め続けていることに希望をもつ。

 最近話題をさらっている「やらせ」タウンミーティングや、郵政民営化に反対した議員たちの土下座復党を見聞きすると、自由・愛・正義にあまりにも遠い思いがする。滑稽でもあり、情けなくもある。

 例を挙げれば、2003年12月に岐阜市で行われた教育改革のタウンミーティングでは、人件費が厖大に支出されていることに驚いてしまう。中でも有名になったのは閣僚接遇にかかわる支出である。空港・駅での閣僚送迎等15000円、会場における送迎等が40000円、エレベーター手動(ボタンを押すだけ?)15000円、エレベーターから控え室までの誘導5000円。
 岐阜市の場合であったかどうか忘れてしまったが、内閣府の役人の参院特別委員会での答弁によると、この種の支出額が集めた業者の中で一番安い見積もりだったそうだ。これが教育基本法改正案を通すための「やらせ」タウンミーティングの経費の一部である。これらの金が本当に業者に渡ったのだろうか。渡したと称して裏金を作っているのではなかろうか。それとも、業者に恩を着せて別の見返りを求めているのだろうか。いずれにしても高価な見積もりをしたこの業者との政・官の癒着が疑われても仕方がない。
 もう一つは2005年6月静岡市で開かれた同じく教育改革タウンミーティングである。駅から会場までわずか徒歩5分の距離しかないのに、静岡県内ではハイヤーが出尽くして雇えなかったとかで(これは嘘らしい)、東京から静岡まで当時の中山文科相ら3人を乗せるためのハイヤー15台、伴走車6台の計21台が延々と東海道をくだった(ことになっている、計57万円也)。特別委員会の答弁では、支出額の帳尻を合わせるためにハイヤー4台を15台にしたとのこと。それにしても本当に東京から静岡まで空ハイヤー4台(?乗車人数は3人?)がやってきたのか。わずか数分間の乗車のために。本当ならば馬鹿げているし、嘘ならその金をどうしたのか告白すべきだ。
 生活保護を受けている母子家庭に加重される手当さえも削ろうとしているのに、こうした無駄な、あるいは偽装の支出を平気で行うのはあんまりではないか。

 郵政民営化に最初反対した自民党の11人が復党を願い出て誓約書を書いた。小泉首相に言わせれば(酷薄な人だ)「土下座」復党である。彼らはひたすら党の執行部に「ありがとう、ありがとう」と連発した。一人の長老はそれでもかっこうをつけようと、「民営化には賛成だったが、法案には反対であった」などと訳の分からぬ弁解をしていた。彼らは党の執行部に感謝、感謝とぺこぺこするくせに、民営化に反対する候補者だと思って投票した選挙民に対してはまだひとことも謝罪していない。説明会でも開く気はあるのだろうか。この裏切り行為をどのように説明するつもりなのだろうか。議員として生活してゆくためには自民党所属が有利であることは分かる。だが得をするためには恥も外聞もそっちのけというのでは、国会議員としての資格が問われるのではなかろうか(※)。国会議員は国民を代表するエリートであるはずだからだ。その意味で土下座11人衆は流行語を使えば「品格」が欠けている。もちろん「品格」が欠けている議員は他に沢山いるように思われる。選挙民が眼中にない土下座がたまたま目立っただけだ。

 これらの行状を見ると、こうした連中が自由・愛・正義からあまりにも遠いところにいる感がする。政治は理想どおりにはゆかない妥協の営みだと彼らは言うかもしれない。それは分かる。しかし彼らはその理想をまるで持っていそうにないところが問題なのだ。

※「仕方ない仕方ない そんな言葉を 覚えるために 生まれて来たの?」(中島みゆき「はじめまして」)

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コメント

通常、重要人物をエレベーターに速やかに乗せるためには本来利用者同士で譲り合って使うエレベーターを一台重要人物の到着に予想時刻からしばらくの間占領して待機させることが必要になります。

人間を1人ないし2人、エレベーターに貼り付けて、到着は今か今かと待ち受けさせるわけです。行きと帰りがあります(会合の開いている間は待機時間です)から1日仕事ですね。
エレベーター使用時刻に重複して準備作業があるなら、当然この見張り役をソレ専用に雇わなくてはなりません。この人はこの仕事を
するためだけに(タウンミーティングの制作を依頼された)イベント運営会社から派遣されます。
1人でも日給1万5000円、2人なら7500円。
これはイベント運営会社の請求額であって、直接派遣された労働者に払われる賃金ではありません。
エレベーターから控え室への誘導は他の準備作業をしているスタッフが兼務することもできますが、これも専用の人物を用意する場合の方が多いです。業界でアテンドとよばれる仕事になります。日給5000円では安すぎます(1日しかない仕事現場にさらにパートタイムで人を呼ぶことは難しいです。5000円あげるから3時間労働においで!という仕事を年一度だけやって暮らすことはできません)ね、これはほかの作業をしている人物が兼務してやったからできる請求額です。

公表された額が多すぎる支出で、楽な仕事だと思われるならご自分でされたらいい。私はまだ20代ですが、エレベーター番やアテンドは楽な業務ですからシルバー人材でも可能な仕事と考えます。

投稿: 現役イベントスタッフ | 2006/12/08 05:49

へえぇぇ・・労働者には常識的な賃金額が支払われるのだとしたら・・・イベント運営会社ってボロ儲けですのんやねぇ。
国民の血税を使って、無駄な、を通り越して、国民を欺くような集会を、何の疑問ももたずに何度も行ってきた政・官の無神経さが信じられません。このように鈍感な、率先して弱者(国民)いじめをするような権力者が、「いじめ問題」を云々し、教育改革に躍起になっていることは、おおいに滑稽、としか言いようがありません。

投稿: 笑太 | 2006/12/09 00:35

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                           (転送、転載大歓迎)  岐阜県庁の長年の裏金作り。いろんな問題や課題を含んでいる。  ともかく、納税者である県民としては、やってはいけないことをやった人たち、責任ある人たちに返せるだけは返して欲しいという素朴な思い。  その一つの「かたち」が、5000人による住民監査請求になった。 住民監査請求の提出の�... [続きを読む]

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